皆様こんにちは、まきこクリニック院長の船越です。
本日のコラムでは、「胃がんを予防するために」について解説いたします。
わたしは内視鏡医を長年してきて、早期胃がんを発見・治療することも多くある一方で、『なぜもっと早く検査をできなかったのか』と悔しく思うような進行がんにも多く出会ってきました。
1歳の子供さんのお父さんが、胃がんが分かって3か月で亡くなってしまうこともありました。
日本人の死亡原因の上位に位置する病気として胃がんがあります。胃がんは、適切な予防と早期発見で、死亡リスクを大幅に減らすことが可能となります。胃がんの知識を正しく理解して、適切な予防を心がけましょう。
胃がんの主な原因とは?
胃がん(胃癌)は、胃の内壁(粘膜)から発生する悪性腫瘍で、日本では非常に多く見られるがんの一つです。胃がんは早期発見と適切な治療により、治癒が期待できる病気とも言われています。胃がんの原因を正しく理解して適切な予防に努めましょう。
1.ピロリ菌感染
胃がんの主な原因(9割以上)として知られているのはヘリコバクター・ピロリ菌(以下、ピロリ菌)感染となります。ピロリ菌は、胃の粘膜に生息し、慢性的な炎症や胃潰瘍を引き起こす可能性があります。ピロリ菌が長期間にわたり胃に存在すると、胃の粘膜が損傷を受け、胃がんのリスクが高まります。
ピロリ菌の感染経路は、主に口から口への接触や汚染された食物・水の摂取です。衛生状態が改善されることで感染率は低下していますが、幼児期に一度感染すると適切な治療を受けない限り、ピロリ菌は体内にとどまると言われています。
2.食生活と飲食習慣
食生活も胃がんのリスクに大きく影響します。
・塩分の高い食品の摂取: 塩漬け食品や味噌、漬物、塩辛などの塩分が多い食品は胃の粘膜にダメージを与えることがあります。塩分の過剰摂取はピロリ菌感染と相まって、胃がんリスクを高めることも知られています。
・燻製食品や加工肉: 燻製食品やハム、ソーセージといった加工肉には発がん性物質であるニトロソアミンが含まれていることがあります。そのため、過剰な摂取は控えるようにしましょう。
・低野菜や低果物の食事: 野菜や果物には抗酸化物質が含まれ、細胞を保護する効果があります。これらが不足すると胃がんのリスクが高まる可能性があります。
・熱い飲み物: 非常に熱い飲み物の常飲も胃の粘膜にダメージを与え、リスクを高める可能性があります。
3.喫煙と飲酒
喫煙と飲酒も胃がんのリスクが高まる要因として知られています。
・喫煙: タバコに含まれる有害物質が胃の粘膜に直接影響を及ぼし、細胞の損傷や発がん性のリスクを高めます。また、喫煙はピロリ菌感染によるダメージを悪化させるとされています。
・飲酒: 過度の飲酒、とくにアルコール度数の高い酒類を多量に摂取することは、胃粘膜を傷つける原因となり、リスクを増大させることが知られてます。
4.遺伝的要因
胃がんの家族歴がある場合、胃がんのリスクが高まることが知られています。特定の遺伝子変異や家族性胃がん症候群が関連しているとされています。そのため、ご家族に胃がんを患ったことがある方は必要に応じて定期的な検査・検診が推奨されています。
5.慢性的な胃疾患
慢性胃炎や胃潰瘍などの胃疾患は、胃がんの発生に寄与することがあります。これらの疾患は、ピロリ菌感染や食生活、喫煙、飲酒といった要因と複合的に作用することが多いです。
6.年齢と性別
胃がんは中高年層で発症率が高い傾向があります。年齢を重ねることで細胞の修復能力が低下し、がんのリスクが高まると考えられています。
胃がんを予防するために
①ピロリ菌検査と除菌治療
ピロリ菌に感染している場合、医療機関で検査と除菌治療を受けることで、胃がんの発生リスクを大幅に低減できます。特にご家族に胃がんの既往歴がある方は早めの検査や除菌をおすすめします。
②バランスの取れた食生活
栄養バランスが整った食事をすることで胃がんの予防に繋がる可能性があります。
塩分を控える:ラーメンのスープを残す、味付けを薄めにするなどの工夫を。
新鮮な野菜や果物を摂取:ビタミンCや食物繊維が胃の粘膜を保護します。
発酵食品を取り入れる:ヨーグルトや味噌、納豆などは胃腸の健康維持に役立ちます。
③禁煙・節酒
喫煙は胃がんだけでなく、他のがんのリスクも高めます。
また、過剰な飲酒もがんのリスクが高まると言われています。適切な飲酒量を心がけましょう。
④ストレスの管理
慢性的なストレスは胃の健康に悪影響を及ぼします。適度な運動や趣味の時間を設けることでストレスを軽減しましょう。
⑤定期的な健康診断の重要性
胃がんは早期には症状がほとんど現れません。そのため、定期的に検診を受けることが重要です。
⑥胃内視鏡検査(胃カメラ)やピロリ菌検査
30歳で一度はピロリ菌の感染診断を含めて、内視鏡検査(胃カメラ)を受けておきましょう。40歳以上の方やリスク要因がある方は、年に1回の胃内視鏡検査を受けることで、早期発見の可能性が高まります。また、ピロリ菌の感染が疑われる場合には血液検査や尿素呼気試験を受けましょう。
胃がんを予防するためのポイント
・ピロリ菌検査と除菌治療を行う。
・塩分控えめで野菜中心の食生活を心がける。
・禁煙し、飲酒量を適度にコントロールする。
・ストレスをためず、心身の健康を維持する。
・定期的な健康診断(胃カメラ検査)で早期発見を目指す。
当院の胃カメラ検査の特徴
①内視鏡専門医による胃カメラ検査
②鎮静剤を使用した苦痛の少ない胃カメラ検査
③鼻からできる経鼻内視鏡検査
④胃内視鏡検査後、寝たままリカバリールームに移動
⑤胃と大腸の同日検査が可能
⑥検査後もお腹がはりにくい二酸化炭素送気の使用
⑦土曜日・日曜日の胃カメラ検査が可能
■まとめ
胃がんを予防するためには、定期的な胃カメラ検査と適切な生活習慣が必要となります。まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニックでは、女性にも男性にも寄り添い、どなたでも安心して相談できる環境を整えております。些細な症状・気になる症状や定期的なチェックを希望される方は、どうぞお気軽にご相談ください。当院では、消化器診療・内視鏡検査に特化したクリニックとして、良質なおしりやお腹の検査・内視鏡検査・診察を提供できるよう様々な工夫を行っています。胃もたれや胸やけで悩まれている方はお気軽にご相談下さい。
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まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック