大腸がん

大腸について

大腸イラスト口から入ってきた飲食物が最後に通過する消化管で、小腸に近い部分から、盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸とつながり、その先は肛門です。栄養は小腸で吸収され、大腸では水分の吸収が行われて便ができ、排便まで大腸に貯蔵されます。肛門に隣接した直腸は、便意を感じる・便をスムーズに押し出すなどの役割を担っています。直腸と肛門の境目には歯状線があり、並んだ小さなくぼみに肛門腺の出口があります。肛門腺からは排便時に便を出しやすくする粘液が分泌されます。
大腸疾患には、盲腸から伸びている細長い虫垂が炎症を起こす急性虫垂炎、粘膜にできたポケット状の憩室が炎症を起こす大腸憩室炎、大腸へ血液を送っている動脈が狭窄・閉塞して部分的に虚血を起こし炎症を生じる虚血性腸炎、難病指定された潰瘍性大腸炎やクローン病、大腸ポリープや大腸がん、過敏性腸症候群などがあります。ほとんどの大腸疾患は、便秘や下痢、腹痛、血便など、共通した症状を起こしますので、気になる症状がある場合は消化器内科を受診して原因疾患を調べることが重要です。

大腸がんについて

大腸がんは、盲腸・虫垂・結腸・直腸・肛門に発生するがんを指しますが、虫垂がんと肛門がんはそれ以外の大腸がんとは病理学的に異なり、必要となる治療も違いますので、一般的な大腸がんとは別のものとして捉えられています。
大腸がんを部位別に見た場合、肛門に近い直腸とS状結腸がそれぞれ約35%の発生頻度となっており、上行結腸と横行結腸はそれぞれ約10%、盲腸や下行結腸はそれぞれ約5%となっています。多くの大腸がんは、放置された大腸ポリープから発生するとされています。大腸ポリープはサイズが大きくなるとがん化する確率が高くなり、将来がん化する可能性の高い大腸ポリープは前がん病変と呼ばれ、その時点で切除することで将来の大腸がん予防につながります。

大腸ポリープについて

女性医師による大腸カメラ検査大腸ポリープは約80%が直腸とS状結腸にできるとされており、腺腫、過形成ポリープ、過誤腫、炎症性ポリープなどに分けられます。最も多い腺腫の大腸ポリープは、それ自体が良性でも長い時間をかけて一部ががん化することがあり、それが増殖すると大腸がんになります。腺腫は、管状腺腫と絨毛腺腫に分けられ、絨毛腺腫は比較的悪性度が高いとされています。
腺腫はサイズによってがん化の確率が異なります。3mm未満のポリープが将来がん化する可能性は3%程度、5mm以上になるとその5%にがんが発見され、20mmでは半分に大腸がんが存在するとされています。10mmを超えたサイズの大腸ポリープはがん化の確率が大きくなるので内視鏡的な切除が推奨されます。大腸ポリープを切除することで、将来の大腸が予防につながります。

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症状

肛門に近い部分にでき、表面が傷付きやすい大腸がんは血便の症状で早期発見につながることもありますが、一般的に大腸がんは早期に症状を起こすことはほとんどなく、かなり進行してから自覚症状が出てくるケースが多くを占めます。また、かなり進行しても症状に乏しく、がんが転移した先で症状を起こして大腸がんが発見されることもあります。大腸がんの代表的な症状は、便秘や下痢といった便通異常、便が細くなる、血便などがあり、腹痛や膨満感などを起こすこともあります。
健康診断などで大腸がん検診として行われる便潜血検査は、便に見た目ではわからないほど微量の血液が含まれているかどうかを調べる検査であり、陽性でも痔など幅広い疾患が疑われますので、確定診断には大腸カメラ検査が必要になります。また、便潜血検査陰性でも出血しない大腸がんが存在する場合もあります。便潜血検査に関する調査で早期がんの50%が見逃され、進行がんの20~30%は検知できないという報告がされたこともありますので、注意が必要です。

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