皆様こんにちは、まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック院長の船越です。
秋から冬へと季節が移り変わり、気温がぐっと下がるこの時期、体の冷えや生活リズムの変化によって、さまざまな消化器症状が現れやすくなります。中でも多くの方が悩まれるのが「便秘」です。普段は比較的順調な方でも、冬になると便が硬くなる、排便が週に数回しかない、お腹が張るなどの不調が目立つようになります。
本日のコラムでは、なぜ冬になると便秘が悪化しやすいのか、そして腸を整えて便秘を予防するための習慣について詳しく解説いたします。
■なぜ冬は便秘が悪化しやすいのか?
- 寒さによる血流低下が腸の動きを弱める
冬の冷たい空気にさらされると、体は体温を守るために血流を中心部に集め、手足や消化管などの末端部分の血流が減少します。そのため、腸の血流が低下し、蠕動運動(腸が便を押し出す動き)が弱まり、排便が滞りやすくなるといわれています。特に冷え性の方や長時間座りっぱなしの方は、この影響が強く出る傾向があります。
- 水分摂取の減少で便が硬くなる
冬は夏と比べて喉の渇きを感じにくいため、水分を意識的に摂らなくなる方が多いです。さらに暖房によって室内が乾燥し、体から水分が奪われやすいことも重なり、体内の水分量は不足しやすい時期となります。水分が不足すると大腸で便からより多くの水分が吸収され、便が硬くなって排便しづらくなってしまいます。
- 運動量の低下が腸の働きを鈍らせる
寒い季節は屋外に出るのが億劫になり、運動量が自然と減る傾向があります。身体活動が減ると腸の動きも低下し、便秘を引き起こしやすくなります。特に在宅ワークやデスクワークが中心の方は注意が必要です。
- 食生活の変化・偏り
冬は鍋料理やこってりした食事、炭水化物中心のメニューが増え、腸内細菌のエサになる海藻や果物などの水溶性食物繊維が不足する食生活となりやすいといわれています。また、年末年始に向けてつい暴飲暴食が増えやすい時期でもあります。このような食生活の変化が腸内環境を乱し、便秘を悪化させる原因につながります。
- 寒暖差やストレスによる自律神経の乱れ
気温差が大きい季節は自律神経が不安定になりやすく、腸の動きをコントロールする副交感神経がうまく働かなくなることがあります。その結果、便意が起こりにくくなったり、腸の動きが鈍くなったりして、便秘につながるといわれています。
■冬の便秘を防ぐための腸を整える習慣
- こまめな水分補給を意識する
喉の渇きを感じなくても、1日を通して意識的に水分を摂ることが大切となります。特に、白湯や温かいお茶、スープなど、体を温める飲み物を取り入れることで、腸の血流を保つこともできます。朝起きてまず一杯の白湯は、腸を刺激するのでおすすめとなります。
- 体を温める食事に切り替える
温かく消化にやさしい食事は腸の動きを促してくれます。そのため、スープ、味噌汁、温野菜、煮物、お粥などを積極的に取り入れましょう。また反対に、冷たい飲み物やアイス、冷えた麺類は腸の血流を下げ、便秘を悪化させることがあるため控えめにすることが望ましいといわれています。
- 食物繊維をしっかり摂る
腸内環境を整えるためには、野菜・海藻・きのこ・果物・全粒穀物などの食物繊維をバランスよく摂取することが重要となります。不溶性食物繊維(野菜・穀物)と、水溶性食物繊維(海藻・果物・オートミール)を組み合わせると、便秘の解消にはより効果的となります。
- 発酵食品を摂取する
腸内の善玉菌を増やす食品として、ヨーグルト、納豆、ぬか漬け、味噌などの発酵食品が挙げられます。毎日の食事の中で無理なく取り入れることで、腸内フローラ(腸内細菌のバランス)が整い、便秘予防に役立つといわれています。
- 軽い運動で腸の動きを活性化
ウォーキング、ストレッチ、軽い体操など、短時間でも構いませんので、毎日体を動かす習慣をつけましょう。運動は腸の動きを直接刺激するほか、ストレス改善にも有効となります。
- 体を冷やさない工夫をする
腹部を冷やさないことは便秘対策に非常に効果的となります。カイロや腹巻き、レッグウォーマーを活用したり、重ね着を工夫したりして身体の芯を温めるようにしましょう。
- 規則正しい生活とストレスケアを意識する
睡眠不足やストレスは、自律神経のバランスを崩し便秘を引き起こしやすくなります。深呼吸、入浴、趣味の時間などでリラックスする習慣を持つことも、腸のためには非常に重要となります。
■便秘と食事の関係性
便秘と食事の関係には密接なつながりがあり、日々の食生活は腸の働きに大きく影響することが知られています。便秘が起こる背景には、腸の蠕動運動の低下や便の水分不足、腸内環境の乱れが関わっていますが、これらは食事によって改善できる場合も多くあります。
〇食物繊維不足
食物繊維の不足は便秘の大きな要因となります。特に水溶性食物繊維は便を柔らかくし、不溶性食物繊維は腸を刺激して蠕動運動を促す働きがあり、野菜・海藻・果物・きのこ・豆類をバランスよく摂ることが重要です。
〇脂質不足
脂質を極端に控える食生活も便秘を悪化させてしまいます。適度な油分は腸の潤滑油となり、便の通過を助けるため、オリーブオイルやナッツなどを適量取り入れることが効果的となります。しかし脂質の過剰摂取は、腸内細菌を乱す一因になる場合もあります。腸内環境が乱れると、ぜん動運動のリズムも崩れてしまい、便秘につながることもあります。
〇発酵食品不足
発酵食品の摂取は腸内細菌のバランスを整え、便通改善に役立ちます。ヨーグルト・納豆・味噌などを日常的に取り入れることで、腸内環境が整いやすくなります。そのため、便秘を解消するために積極的に摂取するようにしましょう。
〇水分不足
水分不足にも注意が必要となります。水分が不足することで、便が硬くなる原因となります。そのため、こまめな水分補給を心掛けましょう。
このように、食生活の見直しは便秘予防・改善に非常に効果的であり、腸の健康を維持するうえで最も基本的で大切な習慣となります。
■こんな症状がある場合はご相談ください
冬の便秘は多くの場合生活習慣が影響していますが、次のような症状が続く場合は、消化器疾患が隠れている可能性もありますので早めに医療機関に相談をしましょう。
・強い腹痛が続く
・便秘と下痢を繰り返す
・血便がみられる
・体重減少や倦怠感が続く
また、便秘解消の市販薬を飲むことは一時的な解消につながる場合もありますが、正しい服用が大切です。そのため、自己判断をすることなく専門の医師に相談をするようにしましょう。
■当院の内視鏡検査の特徴
つらくない胃カメラ•大腸カメラ検査を、みんなが気軽に受けられる社会へ
◎生活習慣病から消化器疾患まで幅広く対応
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■まとめ
冬は、寒さによる血流低下・運動量の減少・水分不足・自律神経の乱れなどが重なり、便秘が悪化しやすい時期となります。食事や生活習慣を少し見直すだけでも腸の調子は大きく変わります。そのため、腸を温め、整え、負担をかけない生活を意識しながら、冬の時期を乗り越えていくことが大切です。しかし、自己判断で便秘を放置すると、何らかの病気が隠れている場合もあります。そのため、我慢することなくお近くの消化器内科に相談するようにしましょう。
当院では、皆様に症状に合った適切な治療方針をご提案させていただきます。些細な胃腸症状でもまずはお気軽にご相談ください。
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まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック

